愛しかないので、

ご無沙汰しています、百々ともこです。
きょうは先日まで参加していたCHEERZというアプリのイベント配信でお話した映画についてまとめます。連想ゲームのようにお話していたのでなかなかすべては厳しいですが、思い出せる範囲で書いていきます。

少し長くなりますが、お付き合いいただけましたら幸いです。


【上半期鑑賞お気に入り映画5本】
※年は製作された国での公開年。
※人名は基本的に敬称略です。


ジョジョ・ラビット(2019年、アメリカ)
第二次世界大戦末期のドイツ。主人公はナチスに心酔し、ヒトラーをイマジナリーフレンドに持つ10歳の少年ジョジョ
反戦映画であり、ボーイミーツガール映画であり、少年の成長譚でもある作品。
少年だから見えないもの、少年だからこそ見えるもの。足元に希望も絶望も託す演出が残酷さも孕んでいて素敵です。
「リチャード・ジュエル」と同日公開だったため、私はひとりでサム・ロックウェル祭りを開催していました。この2本を観たら「グリーンマイル」も改めて観よう!

 

少年が主人公、そしてナチスを題材にした作品と言うと「縞模様のパジャマの少年」も有名ですが、こちらは精神的に安定しているときに観た方がいいかもしれません。

瞳があまりにも印象的なブルーノ役エイサ・バターフィールド出演作では「僕と世界の方程式」もおすすめ。


■スウィング・キッズ(2018年、韓国)
朝鮮戦争下の捕虜収容所。新しく赴任してきた所長の指示で収容所のイメージアップのために結成された寄せ集めのタップダンスチーム《スウィング・キッズ》の物語。監督は「サニー 永遠の仲間たち」で知られるカン・ヒョンチョル。
タップダンスが登場するので当たり前なのですが、前述の「ジョジョ・ラビット」同様足元が印象的な作品。ゆるゆると笑えるシーンも挟みながらすすむ前半に比べ、衝撃的なほど怒涛の後半に放心状態で劇場を後にした記憶があります。苛酷な運命に呑まれながらも踊りたいという欲求にまっすぐになっていく登場人物たちが眩しい。


■ミッドサマー(2019年、アメリカ・スウェーデン
※グロテスクな描写があります。
九十年に一度行われる夏至祭に参加するため、スウェーデン奥地の小さな村を訪れた大学生たちを襲う恐怖を描く。高熱を出したときに見る悪夢のような映像が約150分間続きます。
同じアリ・アスター監督の「へレディタリー/継承」、似た印象の作品として「ウィッカーマン」のお話もしました。どれも不安が漂う救いのないタイプの映画です。

また、不安になる映画として「フッテージ」についても少しお話しましたね。冒頭のピタゴラ首吊りはやっぱり強烈です。初っ端から映像的ピークがきてしまうのは少し物足りない気もしますが、それでも素晴らしく惨いです。期待に応えてくれるやさしいホラー。

 

この記事ではグロテスクな描写についてはすべて注釈を入れていくつもりなのですが、あくまで私個人の主観なので、耐性のない方はアクション等がありそうな作品も避けた方が無難かもしれません。

また、わかりやすい例を挙げるならば「グリーン・インフェルノ」あたりが大丈夫でしたら今回の記事でご紹介する作品はすべて観られると思います。参考になれば幸いです。


■ファイティング・ファミリー(2019年、アメリカ・イギリス)
イギリスの元プロレスラー・ペイジの伝記映画。
WWEのトライアウトを受け単身渡米、馴染めない環境で闘うペイジとその家族の物語。泥まみれのスポ魂シンデレラストーリーという印象でした。熱い!
前述の「ミッドサマー」と同じくフローレンス・ピュー主演ですが、(当然ながら)まったく違う役どころでどちらも魅力的です。こっちはかわいいフローレンス・ピュー。


■エクストリーム・ジョブ(2019年、韓国)
解体寸前の麻薬捜査班がフライドチキン屋さんに扮して麻薬密売組織の捜査をする話。
序盤のテンポの良さ、中盤の振り切ったグルメ映画っぷり、ラストのキレキレアクション。とにかくテンションが上がるもの全部詰め込みました!みたいなおもちゃ箱のようなたのしい作品です。チキンが食べたくなる!


「スウィング・キッズ」に続いての韓国映画2本目。
最近は旧作新作を問わず以前より韓国映画を観るようになりました。
オスカー受賞の「パラサイト 半地下の家族」や、少し古いところでは「私の頭の中の消しゴム」や「アジョシ」、最近だと「哭声/コクソン」や「新感染 ファイナル・エクスプレス」のお話も度々しましたね。
また、最終日の配信で個人的にすきな韓国映画としてあげた「音痴クリニック」と「あなた、その川を渡らないで」もおすすめです。
前者はザ・韓流ドラマですが、気軽に観られてげんきになれる作品です。
後者は田舎で暮らす老夫婦を追ったドキュメンタリーですが、日々の出来事と二人の変化を淡々と映していて、しかし全編通してあたたかさを感じられるやさしい作品です。もし機会があれば。

 


【そのほか、配信のなかでお話した映画】


バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ
(1985年・1989年・1990年、アメリカ)
1985年のカリフォルニア州ヒルバレー。
ロックとスケボーと恋人のジェニファーに夢中な少年マーティと、変わり者の科学者ドクが繰り広げる時空を超えた冒険。
これ、説明しなくても誰もがあらすじを知っている作品なのでは……?しかし改めて文章に起こすとなると、時系列が結構むずかしいです。特にPART2はいろんな時代を往復しているので他者に説明するとなると少しややこしくなるかもしれません。

2007年から2019年まで放送されていたドラマ「ビッグバン★セオリー」のシーズン8第5話では、レナードをはじめとする登場人物たちがBTTF2の時系列図をホワイトボードに書いて議論するシーンがあります。図解するとちょっとわかりやすいかな。

ちなみに同エピソードには「グレムリン」や「ゴーストバスターズ」等の話題も出てくるのですが、BTTFとグレムリンは同じユニバーサルスタジオのセットを使用して撮影しています。

なんにせよ誰もが知るタイムトラベル映画の金字塔ですね。ペプシを飲みながら観たい。

私は配信中もSNSでも普段の生活でも度々お話をするくらいにはこの作品がすきなのですが、観たことがないという方にはまず一作目の冒頭シーンだけでも観ていただきたいです。もちろん三作すべて観ていただけたら最高なのですが、まずは導入部分を。

わくわくさせる演出とその後の伏線が凝縮されていて宛らエンタメのお手本。閉塞的なドクの部屋から一気に世界が広がる、その後の壮大な冒険を予感させる最高のオープニングだと思っています。


CHEERZのイベント期間中に金曜ロードSHOW!でのBTTF三週連続放送があったのですが、その翌週の放送作品が「レディ・プレイヤー1」だったので「AKIRA」のお話もしました。「さんをつけろよデコ助野郎!」と「途中まで聞いてましたァ!」は生きているうちに言ってみたい台詞です。
また、ロバート・ゼメキス監督繋がりで「永遠に美しく…」や「フォレスト・ガンプ/一期一会」のお話もしました。
ちなみに「フォレスト〜」で個人的にすきな吹替版の台詞としてご紹介した「石って、意外に落ちてないもんだなと思った。」は、物語終盤で出てきます。字幕版だと「投げる石が足りない時もある」でした。
どんな場面での台詞なのか、気になった方はぜひ観ていただけたら幸いです。


■劇場版美少女戦士セーラームーンR(1993年、日本)
うさぎたちの前に突如として現れた謎の青年フィオレ。異様なまでに衛に執着する彼の正体は、キセニアンという悪魔の花に操られた異星人だった。
同時上映の「メイクアップ!セーラー戦士」を併せても80分未満のコンパクトな作品です。
のちに「少女革命ウテナ」を担当する幾原監督の個性的な演出が全開。特に終盤の曲の挿し込み方は最高。王道の勧善懲悪展開を走りながらも、弱虫泣き虫わがままなうさぎが何故周りに愛されているのかがよくわかる、大人にこそ観てほしい作品。うさぎとフィオレの対比にも注目。愛と恋。
アニメ映画のお話はあまりしていない気がするのですが、「若おかみは小学生!」と「機動戦艦ナデシコ-The Prince of darkness-」、劇場版Rと同じ幾原監督の「少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録」のお話をしたのは覚えてます……。
あと、今年の映画館はじめとして「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」を観に行ったお話もしたかな。


ボヘミアン・ラプソディ(2018年、イギリス・アメリカ)
イギリスのロックバンドQUEENのフロントマンフレディ・マーキュリーの伝記映画。
1985年のライヴエイド出演までを描いていますが、脚色の範囲を超えるくらい史実と違うところもあります。これは伝記映画というよりライブですね。
最近改めて鑑賞したのですが、序盤の展開が非常に速いんですよこの作品。スターダムの駆け上り方もすごいんですが、具体的に言うと、いつのまにか加入しているジョン・ディーコンとか……。
本当に、ラストのライブエイドのためにそれまでの2時間を積み上げている感じ。
可能ならばなるべく劇場で鑑賞することをおすすめします。
公開当時この映画を、"ブライアン・メイロジャー・テイラーによるフレディ・マーキュリーへのラブレター"と表現している方が居ましたが、まさにそんな印象があります。愛しかない。
伝記映画の流れで「ロケットマン」と「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」のお話もしました。

ボラプを観てQUEENの楽曲が気になった方、現在のQUEENが気になったという方には現在Netflixで配信中のドキュメンタリー「クイーン+アダム・ランバート・ストーリー:ショウ・マスト・ゴー・オン」をおすすめします。第91回アカデミー賞授賞式のオープニングパフォーマンスも併せて観てほしい。

 

アルバム「Queen Ⅱ」のジャケットのフレディのポーズは当時のカメラマンミック・ロックが、フレディの自宅に飾られていたマレーネ・ディートリッヒのポスターからインスピレーションを受けオマージュとして撮影したという逸話があり、劇中でもマレーネの写真が登場しています。小道具や衣装の細かさ、再現度の高さもボラプの魅力のひとつですね。

そんなマレーネ・ディートリッヒ、「間諜X27」や「情婦」などおすすめしたい作品がたくさんあるのですが、なんといっても「上海特急」。一般的に代表作と言われるのはこれですかね。ジェーン・ワイマンと共演した「舞台恐怖症」も、賛否の分かれる作品ではありますが、ヒッチコック的映像が満載で観ていてとても楽しいですよ。

この記事では比較的近年の作品ばかりを挙げているので、ここで一旦少し古めのものもおすすめしておきます。

ちなみにラーメンズさんのネタにも「マレーネ」をテーマにしたショートコントがあります。だいぶ昔ですが。

 

というわけで、特に頻繁にお話していた映画3本をご紹介しました。

普段私が観ている作品の傾向からしても、このまとめ記事の内容が洋画寄りになってしまうのは必定なのでここで2本ほどすきな邦画のお話をします。

 

蒲田行進曲(1982年、日本)

つかこうへい作演出の舞台作品を深作欣二監督が映画化した作品。きちんとは観たことがないがエンディングは知っているという方もいるのではないでしょうか。
大作映画「新撰組」を撮影中の東映京都撮影所
主演の倉岡銀四郎は自分の出世のために、身重の恋人小夏を付き人である大部屋役者のヤスに押し付ける。
自分の子じゃないと知りながら小夏の出産のために日々斬られ役でお金を稼ぐヤス、そんなとき映画のクライマックスである階段落ちのスタントを引き受けることになり……。
映像のクライマックスとしてはやはり階段落ちだと思うんですが、物語としてはヤスが保険金の受取人やらを大勢連れて帰宅し、小夏に咎められて爆発、大暴れしたあとにぽつぽつと語り出すシーンかなあ。個人的にすきなのは倉庫での銀ちゃんと小夏のシーンです。登場人物がみんなきたなくて、悪人じゃないけど良い人でもないんですよね。でもそれが愛おしく、魅力的にうつっているからすごい。
時代は変わるし私自身の考え方も時と共に変わっているはずですが、こどもの頃に観てからいまでも変わらずいちばんすきな邦画です。

 

下妻物語(2004年、日本)
ロリータファッションを愛する高校生桃子と、がっつりヤンキーの暴走族イチゴの少し変わった友情を茨城県下妻市を舞台に描くコメディ映画。自分を貫き通すかわいくて逞しい女の話。
今更知ったのですが、音楽に菅野よう子さんが関わってらっしゃるんですね。驚いた。
私は菅野よう子さんを「マクロスF」で知り、その後「天空のエスカフローネ」や「カウボーイビバップ」、坂本真綾さんの楽曲などでよく触れていたのですが、邦画では「ハチミツとクローバー」や「海街diary」も担当されていますね。お名前を聞くと あ〜〜!って納得する……。

 

配信中、邦画でははほかにも「時をかける少女」や「キサラギ」、「クワイエットルームにようこそ」、「花とアリス」、「GO」、「ジ、エクストリーム、スキヤキ」などのお話もしていた気がしますが、やはり記事にしても洋画に偏ります……。


■ヘアスプレー(2007年、アメリカ・イギリス)
1960年代のメリーランド州ボルチモアに住む、ダンスとおしゃれがだいすきなビッグサイズの女の子トレイシー。彼女の夢は人気番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出演してスターになること。
人種差別などの社会問題を詰め込みながらも、底抜けにポジティブな主人公と、楽しい曲やダンスに魅せられる。観たあとに踊りたくなる作品。

ミュージカル映画だと「RENT」、「フットルース」のお話もしたかな?

そういえば配信中に「一番すきなケヴィン・ベーコンはなんですか」というコメントをいただいたのですが、やっぱり改めて考えても私の一番は「フットルース」でした。あとは「激流」「トレマーズ」もすきです。


ブルース・ブラザース(1980年、アメリカ)

刑務所から出所したばかりの兄ジェイクとその弟エルウッドが、生まれ育った孤児院を存続させるために奔走する、SNLのスケッチを基にした音楽映画。しかし奔走という言葉が似合わなすぎるくらい終始飄々としているふたりが面白い。破天荒とはまさにこのこと。
そしてこの作品、なんといっても出演者が豪華なんですよね。
レイ・チャールズジェームス・ブラウンアレサ・フランクリンキャリー・フィッシャー、果てはスティーブン・スピルバーグも出演しています。とにかく楽しい映画!何も考えずに観てください。


ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年、イギリス)
※グロテスクな描写があります。
だいすきなゾンビ映画です。とにかく登場人物たちが愛おしい。
エドガー・ライト、ナイラ・パーク、サイモン・ペッグニック・フロストによるスリー・フレーバー・コルネット三部作の一作目。
サイモン・ペッグ出演作では「変態小説家」のお話もしましたね。コインランドリーで洗濯の仕方がわからないシーンがすきです。
ゾンビ映画だとほかに「カミングアウト・オブ・ザ・デッド」や、短編ですが「FIST OF JESUS」のお話もした……かな……?
「カミングアウト〜」は少し痛そうな描写が多いですがおすすめです。序盤の展開の速さが気持ち良い。
「ショーン〜」の雰囲気がすきな方には「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」もおすすめ。こちらはゾンビではなくスプラッタコメディですが。

 

スイス・アーミー・マン(2016年、アメリカ)

無人島で遭難し自殺しようとしている主人公ハンクが、海岸に打ち上げられた青年の死体と出会い故郷を目指す物語。そんなにがっつりと故郷や生還を目指している訳ではない。序盤は何を観ているんだ……?という気持ちになってくるが、いつのまにかそのシュールさに飲み込まれる。ふんわり生きることを考えさせられ、ぼんやりでも生きていていいんだと思える作品。

ポール・ダノ出演作では「リトル・ミス・サンシャイン」や「グランドフィナーレ」も良いですよね。


■セブン(1995年、アメリカ)
※グロテスクな描写があります。
七つの大罪をモチーフにした連続猟奇殺人事件を追う刑事たちを描くサスペンス映画。
あまりあらすじを説明したくない……。公開から二十五年経った作品に対して言うのはおかしな話ですが、初見の方はあまり前情報を入れずに観てほしいです。
同じくデヴィッド・フィンチャー監督作品では「ファイト・クラブ」もだいすきです。だいすきなんですけど、意外と配信中お話していなかったかもしれない。こちらは映画も面白いですが、原作も超面白いので機会あればぜひ読んでみてください。

 

前述の不安になる映画とは別に、後味のよくない作品のお話もしましたね。

「セブン」もあまりすっきりする終わり方の作品ではないと思うのですが、後味のわるい映画といったら「ミスト」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」ですかね。どちらも終わったあとの余韻がずっしりです。でもだからこそ面白く、また観たくなるのですが……。


この記事を書いていて、コメディと音楽映画が多いのに対してサスペンス映画が少ないなと感じました。露骨な偏りが見受けられる。

サスペンス系でお話したものだと「メメント」や「ユージュアル・サスペクツ」、「スプライス」あたりでしょうか。あとはサスペンスというよりスリラーですが「エスター」とか?

明るめな作品の方があらすじを説明しやすく、また、サスペンス映画に比べてネタバレに慎重にならずに済むから偏るんですかね。もっと上手にお話して、すきな作品を共有できたらうれしいですね。


N.Y.式ハッピー・セラピー(2003年、アメリカ)
ひょんなことから怒り抑制セラピーを受講することになった男性に巻き起こる騒動を描いたコメディ映画。
うだつの上がらない残念な男を演じるアダム・サンドラーのはまりっぷりも然ることながら、ジャック・ニコルソン演じるセラピストがクレイジーを通り越してサイコすぎてちょっと怖い。
途中で登場するウディ・ハレルソンが強面かっこいい。「グランド・イリュージョン」が観たくなっちゃうね。


■ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ(2015年、アメリカ)
※グロテスクな描写があります。
B級ホラー映画の世界に迷い込んでしまった若者たちが、生きて残るためにホラー映画あるあるに抗ったり映画の中の人物たちと協力したりしながら元の世界を目指すお話。
ホラーかと思えばコメディにハートフルな展開もあり、80年代ホラー映画へのオマージュ満載の楽しい作品です。ちょっとチープな映像やエンドロールまで愛しい。
みんなだいすきアダム・ディヴァインがいつも以上にウザい役で登場します。でもこういう登場人物、B級ホラー映画にいるよね、と納得しちゃう。
これがすきな方はたぶん、いやきっと、「キャビン」もすきだと思います。


タリーと私の秘密の時間(2018年、アメリカ)
三人の子を持つマーロは、兄の紹介で夜間限定のベビーシッター・タリーを雇うことに。ふたりの間に生まれる友情や、タリーと出会って変化していくマーロの姿を描いています。ちょっとイヤな役どころだけど、マーロの旦那・ドリューの存在が良いです。
同じくジェイソン・ライトマン監督脚本の「サンキュー・スモーキング」もちらっとお話しました。こちらは煙草研究所の広報部長が主人公ですが、喫煙シーンが一切ない。煙草というわかりやすいパッケージを通して、実際には違うテーマを提示している作品。ジャンルとしては風刺コメディですが、皮肉も嫌味っぽくなくすっきりとしていて観やすいのではないかと。


■スキン〜あなたに触らせて〜(2017年、スペイン)
※グロテスクな描写があります。
パステルカラーの可愛らしい映像で描く、という意味では「JUDITH HOTEL」等が近いのではないでしょうか。描いているものは全然ちがいますが。
受け取り方にものすごく幅がありそう(そもそも受け付けない人も多そう)な作品ですが、私にとっては、人間は皆綺麗ではないということを思い出すことができる作品でした。理想を押し付けたような描写になっていないことも救い。


■パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年、インド)
実在の発明家アルナーチャラム・ムルガナンダムをモデルにした伝記映画。
主人公は奥さんが生理に苦しんでいるのを見て、低価格で安全な生理用ナプキンを開発することを決意するのですが、物語の最初から最後まで愛に満ちた優しい作品です。しっかり歌って踊るシーンもあります。

 

■セサミ・ストリートへ愛を込めて〜エルモに命を吹き込んだ人形師〜(2011年、アメリカ)
エルモの人形師ケビン・クラッシュの生い立ちや、エルモというキャラクターの誕生を追ったドキュメンタリー映画
人形の顔の角度を少し変えるだけで、変わっていないはずの視線までちがって見えて、全体もまったくちがう表情に見える。本当に魔法にかけられたように、人形が生きている。職人技ってこういうことなんだなと感じます。心がつかれたときに観てほしい、愛に溢れた作品です。


■37セカンズ(2020年、日本・アメリカ)
生まれた時に37秒間呼吸が止まったことで脳性麻痺になった女性が主人公。自由にならない身体や周りの目、母親の過干渉などの息苦しさから抜け出し自立していく、ざっくり言ってしまえば成長物語。前半と後半でだいぶトーンの変わるなかで、一貫した主人公ユマの逞しさがかっこいいです。こういう映画は説明や感想が特にむずかしいですが、なんというか、理想を押し付けない、一人の女性の話として描いていたのが良かったなと思います。中盤のお風呂のシーンのあたり、お母さんがあそこまで過保護になってしまう理由は勿論わかるのだけど、それが逆に切なく痛々しく、残酷に見えて、わんわん泣いてしまいました。


■ハッピー・デス・デイシリーズ
(2017年・2019年、アメリカ)
自分の誕生日パーティーに向かう途中、お面を付けた謎の人物に殺されてしまった主人公。
目を覚ますと既に過ぎたはずの自分の誕生日の朝。既視感に疑問を抱きながら一日を過ごすもまた同じお面の人物に殺されてしまう。そして目を覚ますとまた誕生日の朝……。
所謂タイムループものです。ループもので有名な作品と言ったら「恋はデ・ジャヴ」や「オール・ユー・ニード・イズ・キル」かな?あと最近「ミッション:8ミニッツ」を観ました。

最初はホラー風味、途中で主人公がループを理解し楽しみ出してからはコメディ色が強く、見ていて気持ちが良いです。水着でスカイダイビングとか。
個人的には同じクリストファー・ランドン監督の「ゾンビワールドへようこそ」もおすすめです。どちらも登場人物がみんな可愛らしいです。

 

キングスマンシリーズ

(2014年・2017年、イギリス・アメリカ)

世界最強のスパイ機関《キングスマン》の活躍を描くスパイアクション映画。

「Manners Maketh Man」とにかくスタイリッシュな豪速球どストレートのかっこよさを浴びせられる作品です。

一作目では、亡き父の跡を継ぎキングスマン候補生となる元海兵隊の青年エグジーの成長を描き、二作目ではアメリカのスパイ組織ステイツマンと共闘。更に師匠との共闘という胸熱展開もあります。エルトン・ジョンが想像以上に出てきます。

あ!二作目のハル・ベリーがすきな方はぜひ「ジョン・ウィック:パラベラム」も観てほしいです……。

どちらもスーツ!わんちゃん!バトル!最高でしかないです。

九月公開予定の続編「キングスマン:ザ・ファースト・エージェント」も楽しみです。このあいだ予告観て興奮しちゃった。


以上、配信の中でお話した映画をざざざーっとご紹介しました。
さすがに有名な作品ばかりなのであれなんですが、もし観たことがない作品があったら、ぜひこの機会に観ていただければうれしいです。ぜひ感想を教えてください。
そして、七月以降の公開作で気になっているものとしてお話したのは恐らくこのあたりかな……。
・カセットテープ・ダイアリーズ(公開中)
・悪人伝(公開中)
・アングスト/不安(公開中)
・のぼる小寺さん(公開中)
・ディック・ロングはなぜ死んだのか?(8月7日公開予定)

新作も旧作も観たい作品が多すぎて、人生の時間が足りません。

生きているうちにどれだけのすてきな作品に出会えるかわからないけど、ひとつでも多くの知らない世界に出会いたいです。長生きしなきゃ。

 

はじめに考えていたよりもだいぶ長い記事になってしまいました。

おそらく上記以外にもお話した作品がたくさんあるんですが、なかなかすべては思い出せないのできょうはここまでです。

もしまたどこかで映画のお話をする機会がありましたら、ぜひあなたのおすすめを教えていただけるとうれしいです。


では、百々ともこでした。